畳を知る
普段、何気なく使っている畳。
その構造や素材には、快適な生活を送るための様々な知恵が隠されています。
畳を知って、生活をより豊かにしてみませんか。
畳の構造
畳は、幾重にも重ねた稲藁を圧縮して作られた「畳床」に、糸と天然のい草で平織りした「畳表」を上からかぶせ、畳の長手方向に「畳縁」を縫い付けることで作られています。
現在では、科学技術の進歩や、住宅事情やニーズの変化に伴い、様々な素材が使われるようになりました。
ここでは、「畳床(たたみどこ)」「畳表(たたみおもて)」「畳縁(たたみべり)」それぞれの特徴をご紹介します。
畳床 たたみどこ
藁床 わらどこ
藁床は、昔から使われている最も日本の風土に合った畳床で、お米を収穫した後の稲わらを使用した、まさに日本文化や自然の恵みから生まれたものです。
40センチ位に何層にも積み重ねた大量の稲わらを、およそ5センチほどまでに圧縮して縫い上げて作られます。
特徴としては、湿度調節機能や、防音性・防火性・断熱性・耐久性・復元力などにも優れており、他の床に比べると、程よい足あたりで人気があります。
建材床 けんざいどこ
細かいチップ状の木材を圧縮したインシュレンボードと、ポリスチレンフォームを合わせて作られます。
特徴としては、安価で軽量、断熱性や耐湿性にも優れており、ダニも寄生しにくい面で現代建築に多い密室性の高いお部屋に適しています。
藁床の断面
畳表 たたみおもて
畳表は、経糸にイグサを織り込んで作られます。そして、イグサの質や長さ、色や本数などによって等級付けされます。
よい畳表は、質の良いイグサを選別して作られており、丈夫な経糸にしっかり織り込むため耐久性も良く、長い草を使っているため、畳の端が変色していることもなく、色鮮やかでとても美しいです。
い草の効果
い草の内部はスポンジ状で、無数の穴があり、その穴に空気中の二酸化窒素などの有害物質を吸着する性質があります。さらにはアンモニアなどの嫌な臭いも消してくれるなど、空気の浄化作用があります。
また、その香りは人をリラックスさせる効果があり、畳の部屋の方がフローリングの部屋よりも、学習効果が高くなるという実験結果も出ています。
国産畳表と中国産畳表
畳は日本独自の文化の一つですが、必ずしも素材が日本製とは限りません。
日本国内で使用されている畳表の約80%が、安価な中国産の畳表で作られているのが現状です。
しかし、中国産畳表には、以下のような難点も挙げられます。
・中国産畳表は、国産畳表に比べ、い草の収穫が一
ヶ月ほど早い為、表皮が柔らかく成熟が不十分
⬇︎
表皮が剥けやすくなってしまいます。
・国産畳表は時間をかけ、ゆっくりと乾燥する為、
ある程度の水分を含むのに対し、中国産畳表は急
速に乾燥をさせてしまう為、水分が残らない。
⬇︎
イグサが乾燥しすぎて水分がほとんど残らず、
表皮はカサカサに毛羽立ち、イグサ本来の粘り
や弾力性も失われてしまう。
また、手触りも固くなってしまう。
・国産と違い、草の選別が農家単位で行われない
ために、イグサの品質が均一ではない
⬇︎
色味がバラバラのために、化学染料で染色加工を
することが多く、出荷後に色落ちして服などに
付着したり、焼けた場合、ムラだらけになり
見映えが非常に悪くなる。
最近は、以前に比べると技術や品質も上がってきましたが、まだまだ上質な国産品には及ばないようです。
イグサの断面
(参考:森田洋「イグサのすべて」)
国産畳表。い草およそ7,000本使用。
中国産畳表。い草およそ4,000本使用。
良質な畳表を作るために人の目で丁寧に
選別をしています。
畳縁 たたみべり
畳縁は、畳の長手方向に縫い付けられている布を指します。
畳の角の摩耗を防ぐため、また昔は身分や位を表すものでした。
今は、お部屋の雰囲気に合わせて自由に選べます。
当店では、無地の綿縁から柄モノの化学繊維の畳縁まで数多く取り揃えています。
畳屋 よこうち 店舗紹介